こんにちは!もっちゃんです!!
今日は浸透圧について解説します。
浸透圧とは簡単に言うと濃度差による溶媒の移動の事であり、透析とは切っても切れない関係にあります。
今回は浸透圧とはどういうものかをなるべく簡単に解説していきます。
人体の体液の分布
人間の体重の60%は水分です。水分は血液や細胞内液、細胞外など様々な場所に存在しています。
〇細胞内液・・・体重の40%
〇細胞外液・・・体重の20%
となっています。
さらに細胞外液は間質液と血液に分かれ、
〇間質液・・・体重の15%
〇血液(血漿)・・・体重の5%
になります。

このように水分とは様々な場所に存在しており、さらに水分はそれぞれの場所を移動する事ができます。

この水分移動に関わってくるのが浸透圧です。
浸透圧の基礎
半透膜を介して2つの液が触れ合っている時に濃度の低い液から濃度の高い液に溶媒が移動する時の圧力のこと
単位はOsm/L(オスモルパーリットル)

なんで濃度差によって溶媒が移動するのでしょうか?
それは浸透圧の正体がカギになっています。
浸透圧の正体
浸透圧とは実は物質が水を引き寄せる力の事です。
そしてこの水を引き寄せる力とは粒子の数が多いほど強くなります。

粒子の数が少ない=濃度が低い
粒子の数が多い=濃度が高い
と捉えることもできますよね。

簡単にまとめると、
①物質は水を引き込む力を持っている。
②粒子の数が多いほど引き込む力は強い
③粒子の数=溶質の濃度と捉えることができる
④ ②③の関係から溶質の濃度が高い方が水を引き込む力が強いという事になる
結果として濃度の低い液体から濃度の高い液体の方に水が引き込まれる

人体の水分移動
人の血漿浸透圧(血液の浸透圧の事)は約285mOsm/Lであり、細胞内外で等しくなるようにバランスが取れています。
このバランスを保つために水分が常に移動し続けるわけです。
例えば細胞内の浸透圧が高くなれば、浸透圧の低い細胞外から水を引き込み、細胞内の浸透圧が下がります。逆も同じで細胞外の浸透圧が高くなれば細胞内から水を引き込みます。
このように浸透圧が変動すると、元に戻そう(バランスを取ろう)として水分が移動する事で、細胞内外の浸透圧は一定に保たれるわけです。
除水と血圧
血圧とは透析においても重要な指標のひとつですよね。
この血圧の変動にも浸透圧が関わっています。
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗で表せます。
この心拍出量は血液量(血管内ボリューム)と心収縮力がとても関係しています。
簡単にいうと血液量が減少してしまうと心拍出量も下がってしまい血圧が低下するという事です。
透析では除水をしますよね。除水をして血液量が減少することで血圧は低下します。
しかしそれと同時に血液の濃度も濃ゆくなっていきます。

ある溶液から溶媒だけを抜いていくと溶質は残りますよね
つまり溶媒の量が減って溶質の量が一定なので濃度は濃ゆくなります。
除水でも同じ事が起こっています。
血液の濃度が濃ゆくなるという事は浸透圧が上がる事と同じなのです。
つまり血液の浸透圧があがる事で間質液の浸透圧よりも高くなります。
そうすると先ほど説明したような浸透圧差による水分移動が起こり、間質液から血液中に水分が移動してきます。
このような現象が起こる事で血液量(血管内ボリューム)を保っているわけです。
ではどれだけガンガン除水しても血液量は維持されるのか?というとそうではありません。
除水速度とプラズマリフィリングレート(プラズマリフィリングの速度)の関係性が重要なのです。
例えばプラズマリフィリングレートよりも除水速度が上回っていたらどうでしょうか?
除水によって血液量が減少する速度が速すぎると間質液からの補充が間に合わずに血液量は減少していきます。
逆に除水がゆっくりであれば間質液からの補充が間に合うので血液量は維持されます。


透析中に血圧が一気に下がってしまう時は、除水速度が速すぎる可能性がありますね。
まとめ
今回は浸透圧の基礎と体内の水分移動について解説しました。
次回は透析(特に拡散)と浸透圧の関係について解説します。
YouTubeでも解説していますのでよかったらそちらも視聴してみてください。
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