透析患者さんの命綱!シャントについて勉強しよう!③

シャント3
スポンサーリンク

シャントの基礎 最終章

今回でシャントの基本的なお話は3回目になります。
1回目は『シャントの目的と種類』2回目は『シャントの作成部位と吻合方法』について解説しました。
3回目である今回は『シャントの管理とシャントトラブル』について解説します。
この3回を読んでいただければ今までシャントの事がよく分からなかった人でも基本的な事については身に付ける事が出来るはずです。
少し長くなるとは思いますが最後までお付き合いお願いします!

シャント管理

シャントはこの記事のタイトルにもあるように、透析患者さんの命綱です。
そのシャントを守っていくためには適切なシャント管理が大事です。

シャント管理と言われても何をしていいか分からないという方もいると思います。
シャント管理で重要な事は主に『閉塞させない』『感染させない』『透析効率を維持させる』の3つです。
ここではこの3つについて詳しく解説していきます。

①閉塞させない!

シャント管理と言われて真っ先に考えるのはシャントの閉塞です。
閉塞、つまりシャント血管が詰まってしまうとそのシャントは使えなくなってしまいます。

シャントが使えないという事は透析が出来ないという事です。

それだけは避けなければいけないですね。

シャントが閉塞してしまうと、血栓溶解という経皮的治療やそれが不可能ならシャントの作り直しをしする必要があります。どちらにしても患者さんへの負担は大きいので、シャント閉塞を起こさないように努めなければいけません。

閉塞の予防

触診と聴診で日頃からシャントを観察する

触診と聴診は一番簡単かつ重要な事です。
シャント閉塞はほとんどの場合で狭窄病変が進行した結果で起こってしまいます。
日頃の触診や聴診で狭窄病変を早期に発見する事がシャント閉塞を予防する事になります。

触診で流れが弱くなっていたり、聴診で音が小さくなっていたら狭窄病変がある可能性があります。その時は技士やドクターに相談してエコー検査をしてもらうと良いですね。

患者教育

患者さんに自分自身のシャントをきちんと管理してもらうのもシャント閉塞予防には効果的です。
例えば『シャント肢で重いものを持たない』『シャント肢で血圧を測らない』『少しでも気になる事があったらすぐにスタッフに報告する』といった事を習慣付けてもらいましょう。
患者さんに自分のシャントは自分で守ると意識してもらうのが大事です。

定期的なシャント検査

定期的にシャント検査を行い異常がないかを確認するのも大事です。
検査の内容としては『シャントのエコー検査』『シャント流量測定』や『VASを使ったシャントのスコアリング』などがあげられます。
シャント流量測定はニプロ社が販売しているHD03透析モニターという物が有名です。
ニプロ社HPリンク

このような検査を行い異常が見つかればシャント閉塞を起こす前に、PTA(経皮的血管形成術)という治療法で、狭窄病変の治療を行います。

とにかく大事なのは日頃からシャントをよく観察しておくことです!

②感染させない

シャントが感染を起こしてしまうと治るまで感染部位に穿刺出来ないだけでなく、シャント自体が使えなく事も稀にあります。また、本当に重篤な場合は敗血症まで進行してしまう事もあるのでシャントを感染させないというのはとても大事なことです。
シャント感染を防ぐ為にはとにかくシャントを清潔に保つ事が重要です。
穿刺前の手洗い・手指消毒はもちろんの事、患者さんにもシャントは常に清潔にしておくように指導していく必要があります。

実はシャント感染の原因に穿刺ミスや止血不良もあります。

穿刺ミスした場合は速やかに別の部位に再穿刺を行い、十分な止血をする事もシャント感染予防につながります。

③透析効率の維持

狭窄病変などの何らかの理由でシャントの流れが悪くなると透析効率に影響してきます。
※透析効率については基礎編が終わった後の記事で詳しく説明します。
色々な評価指標の中でここでは再循環というものを紹介します。

再循環とは一度ダイアライザを通ってきれいになった血液が再び血液回路に流れ込む事をいいます。
既にきれいになっている血液なので再度ダイアライザを通ってもそれ以上きれいなるのは難しいです。
その状態が何時間も続いていると体中の血液の一部だけがきれいになって、それ以外の血液は浄化されないまま体内に残ってしまいます。

再循環が起こる原因は『シャント流量の低下』や『V側穿刺部よりも中枢側に狭窄がある場合』『AとVの穿刺位置が近すぎる』などがあります。
この再循環を起こさないためには閉塞予防と同じように日頃からシャントを観察しておく事や適切な位置に穿刺する事が大事です。

再循環

シャントトラブル

シャントはきちんと管理をしていてもトラブルを起こす事があります。
ここではシャントのトラブルについて解説します。
トラブルの原因と症状を知っておくことでシャントトラブル時にスムーズな対応が出来るようになります。

閉塞と狭窄

シャント管理のところでも記載していましたが、シャント閉塞とはシャントが詰まってしまう事で、その前段階としてシャント狭窄があります。
閉塞や狭窄はそれが起こる部位によって症状が変わりますので注意が必要です。

吻合部付近の狭窄

シャント吻合部付近に狭窄部位がある場合は脱血不良が起こります。狭窄がある事でシャントに流れてくる動脈血の量が少なくなりシャント流量が少なくなってしまうからです。
モニタリングとしてはコンソールの静脈圧が低下します。
狭窄が軽度であれば静脈圧の低下ぐらいしか目に見える変化はありませんが、狭窄が進行してくると脱血不良が起こってきます。脱血不良になると回路内にエアーを引き込む事もあります。
狭窄がさらに進行して閉塞になると完全に脱血が出来なくなり透析が出来なくなってしまいます。
脱血不良がある時は吻合部付近の狭窄を疑って、早期に発見できるようにしましょう。

脱血不良が起こるレベルだと狭窄が結構進行している可能性があります。

早めにエコー等で検査をするようにしましょう。

吻合部狭窄

V側穿刺針より中枢側の狭窄

V側穿刺針より中枢側に狭窄があると静脈圧が上昇します。
これは返血した先に障害物があり血液が流れにくくなっているためです。
狭窄が進行するにつれて少しずつ静脈圧も上昇していきます。
これは日頃から静脈圧を観察していないと中々気づけません。

コンソールの履歴などから静脈圧をグラフ化してみると変化が分かりやすいかもしれませんね。

A側穿刺部とV側穿刺部の間の狭窄

これが一番厄介です。
A側とV側の間に狭窄があっても静脈圧などの目に見える所の変化がありません。
閉塞しても変化がありません。そのため「気づいたらいつの間にか閉塞していた」という事もありえます。
これに気付くには日頃からの触診や聴診でシャントをしっかり観察しておく事と定期的な検査が有効です。

間の狭窄

静脈瘤

透析患者さんの中にはシャントに瘤が出来ている人がいます。
シャント瘤の多くは無害なため経過観察で良いのですがまれに手術で取り除く必要がる瘤も存在します。

経過観察可能な瘤

  • 大きさが2cm以下で比較的やわらかい瘤
  • 瘤の大きさに変化がない
  • 皮膚の色が周囲と変わらない

手術の適応となる瘤

  • 皮膚に光沢を帯び、緊満している。
  • 痛みを伴う
  • 急激に増大している
  • 感染の兆候がある

シャント瘤のほとんどは経過観察可能ですが中には手術が必要な瘤もあるので観察は怠らないようにしましょう。

静脈高血圧症

シャントの中枢側に狭窄があり、スムーズに血液が流れない事で狭窄部より末梢の血圧が上昇してしまう状態。

主な症状はシャント肢の浮腫や腫脹、発赤、疼痛があります。
症状が現れる部位毎に上肢型、前腕型、手指型に分類されます。

手指型はソアサム症候群とも呼ばれます。

ソア(ひりひりする)サム(親指)

親指に症状が現れる事が多いからこう呼ばれるようになりました。

エコーや血管造影などで狭窄部位を見つけ出し、その狭窄を改善させることで症状は落ち着いてきます。
まれに狭窄病変がない静脈高血圧症もありますが、その場合の原因は過剰血流によるものが多いです。
静脈高血圧症は側々吻合で起こりやすいです。

スチール症候群

本来抹消まで流れるはずだった動脈血がシャントに流れ込んだせいで抹消循環不全を起こした状態です。
スチール(盗む)という意味から来ています。

主な症状は手指の冷感、しびれ、痛みなどです。ひどくなってくると糜爛や潰瘍を起こす事もあります。
原因はシャントの過剰血流と動脈硬化です。

治療は症状が軽ければ血管拡張剤を使用します。痛みがある場合など中等症の時はバンディング手術(吻合部をしばる手術)でシャント血流を低下させます。
皮膚の潰瘍など症状が重い場合はシャントを閉鎖させなければいけない時もあります。

まとめ

今回はシャント管理とシャントトラブルについて解説しました。

シャントの基礎とシャントの種類はこちら
シャントの作成部位と吻合方法はこちら

シャントトラブルは色々ありますが、いずれも早期発見する事で重症化せずに済みます。

異常の早期発見をするためには日頃のシャント管理がとても大切です。

この記事を読んでくださった方々はさっそく今からでもシャント管理を始めてみましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました