シャントの作成部位
前回の記事でシャントの基礎やシャントの種類を紹介しました。
今回はシャントの作成部位や吻合方法などを解説していきます。
シャント作成においてプライマリーアクセスとセカンダリーアクセスという考えがあります。
プライマリーとは標準的や最初という意味を持ち透析患者さんが最初に作成する部位の事を示します。
セカンダリーアクセスはプライマリーアクセスが閉塞等で使用できなくなった場合にシャントを再建する部位の事です。
プライマリーアクセスの優先順位
- 手関節部もしくはタバチエールのAVF(内シャント)
- 前腕中央部のAVF
- 肘部のAVF
- 尺側のAVF
- 上肢のグラフト
- 上腕動脈表在化
- 大腿のグラフト
- 大腿動脈表在化
- 留置カテーテル
数字の小さい方が優先順位が高いです。
1番から順に作成出来るかどうかの検討をしていき、その方法で作成不可と判断された場合は1つずつ下の作成方法を検討していきます。

前の記事でも紹介しましたが、透析患者さんの約9割は内シャントを使用しています。
上の優先順位で考えるとほとんどの人が1~4のいずれかでプライマリーアクセスを作っている事になりますね。
セカンダリーアクセスの優先順位
セカンダリーアクセスは上の文でも説明したようにプライマリーアクセスが使用出来なくなった時に作り直す部位の事です。
- 狭窄・閉塞部より中枢側のAVF
- 肘部のAVF
- 尺側のAVF
- 上肢のグラフト
- 上腕動脈表在化
- 大腿のグラフト
- 大腿動脈表在化
- 留置カテーテル

基本的にはプライマリーの優先順位と似ていますね。
違う点といえばAVFで作り直す場合に前の作成部位(吻合部)より中枢側に作るという点です。

もうひとつ大事なことですが、シャントは基本的に利き手の反対側につくります。
シャント作成の優先順位を考える時に第一選択は利き手の反対側で、次の選択肢は利き手側になります。
つまり利き手の反対側にAVFが作れなくなった場合はすぐにグラフトという訳ではなく、まずは利き手側にAVFを作れないかの検討をします。
それが駄目だった場合に利き手の反対側のグラフトという選択になります。
内シャントの吻合方法
内シャントには実はいくつかの種類があって、動脈と静脈をどうやって吻合するかによって種類分けされています。
ここでは吻合方法の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。
端々吻合 | 側端吻合 | 側々吻合 | |
![]() | ![]() | ![]() | |
利点 | ・過剰血流を起こしにくい ・スチール症候群を起こしにくい | ・ソアサム症候群を起こしにくい ・動静脈の距離が離れていても 手術可能 ・吻合部の調整が容易 | ・閉塞しにくい ・吻合部の調整が容易 ・手術が容易 |
欠点 | ・シャントの発育遅延を 起こしやすい ・抹消循環不全をきたす事がある ・手術がやや困難 | ・スチール症候群を起こす事がある | ・動静脈の距離が離れていると 手術が困難 ・ソアサム症候群を呈しやすい |

この3種類の吻合方法はそれぞれメリット、デメリットがあります。
それぞれの特徴を理解してシャント管理に役立てましょう!
まとめ
今回はシャントの作成場所の優先順位と吻合方法の特徴について説明しました。
実際に患者さんのシャントを観察してどの様な特徴があるかを見てみるとさらにシャントへの理解が深まると思います。
次回はシャントの管理とシャントトラブルについて解説します。
シャントの基本と種類についての記事はこちら
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