透析技術認定士 『安全対策』 血液再循環
こんにちは!もっちゃんです!!
透析治療には血液再循環というトラブルがあります。
既に浄化されている血液が再びダイアライザを通る事になるので、それ以上浄化できない。
その為溶質の除去能は著しく低下する

この血液再循環は「空気誤入」や「出血」等とは違い直ぐに患者さんに何かしらの影響が出るようなトラブルではありません。
しかし、長期的にみると患者さんへの影響というのは確実に出てきますので、この血液再循環の原因と対策はしっかりと理解しておきましょう。
主な原因
脱血側と返血側の穿刺位置が近すぎる。または逆接続
脱血側と返血側の穿刺位置が近ければ近いほど再循環は起こりやすくなります。また、血液回路を穿刺針に接続する時に脱血側と返血側の回路を逆に接続してしまうと再循環が起こります。
返血側の穿刺部より中枢側に狭窄部がある
返血側より中枢側に狭窄があるとその部分は血液が流れにくくなります。その流れにくい血液が脱血側の針に吸い込まれる事で再循環が起こります。
シャント血流の低下
シャントの血流が低下する事でも再循環が起こりやすくなります。例えばシャントに180ml/minの血液しか流れていない時に血液ポンプを200ml/minで回していると20ml/min分足りないですよね。この20ml/min分を無理やり引っ張ろうとする為、返血側の針から戻ってきた血液を吸い込んでしまいます。
対策
針と血液回路の接続部のダブルチェック
逆接続がないかをダブルチェックで確認します。
狭窄部の修復・シャント機能の改善
狭窄が原因で再循環を起こしている場合はPTA(経皮的血管拡張術)治療などで狭窄を取り除きます。
また、再循環が無くても高度の狭窄がある場合はPTA治療を行う事で再循環を予防する事ができます。
再循環率の測定
再循環は計算で求める事が出来ます。計算式は以下の通りです。
$P$=シャント肢の反対側の腕のBUN値
$A$=脱血側回路BUN値
$V$=返血側回路BUN値
また、計算以外でもニプロ社のHD03という装置で測定する事もできます。
ニプロ社HP
まとめ
血液再循環は起こってすぐに患者さんに影響がない事もあり、一見気づきにくいトラブルです。
穿刺位置やシャントの状態など日頃からよく観察をしておくことで再循環を防ぐことができます。
シャントの管理やトラブルについては過去の記事でも解説しています。
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