【徹底解説】透析技術認定士合格までの道~ダイアライザの性能④~

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『血液浄化の工学的基礎知識』 濾過係数・限外濾過率

この間から『血液浄化の工学的基礎知識』の分野の中でも「ダイアライザの性能評価」について解説しています。

前回までに「クリアランスに影響を与える因子」について解説してきました。

クリアランスとは溶質の移動に関する指標でしたね。

ここで少し思い出して欲しいのですが、膜透過現象の説明をしたときに「溶質透過流束」「水分透過流束」という言葉が出てきました。

これがどういう事かと言うとダイアライザの性能には「溶質」に関する性能と「水分」に関する指標があると言う事です。

前回までに説明していたクリアランスは溶質に関する指標です。

そして濾過係数・限外濾過率という指標が水分の移動に関する指標です。

まず濾過係数について今から説明していきます。

濾過係数$L_{P}$

濾過係数とは透水性(水の通りやすさ)を表す指標です。

一定の圧力をかけた時にどれだけ水が通り抜けるかによって算出されます。

濾過係数は以下の式で計算できます。

$$L_{P}=\frac{V_{F}}{T_{F}×TMP×A}$$

$L_{P}$=濾過係数

$T_{F}$=濾過時間(圧力をかけ続ける時間)

$V_{F}$=時間$T_{F}$の間に得られた濾液量(通り抜けた水の量)

$TMP$=膜間圧力差(膜にかかる圧力)

$A$=膜面積

ここでTMPという初めての単語が出てきました。

TMPとは膜間圧力差といって透析膜にかかる圧力を表しています。

透析膜には静脈圧(血液側)の圧力と透析液圧(透析液側の圧力)があります。

静脈圧と透析液圧はそれぞれ反対向きにかかる圧力のため静脈圧から透析液圧を引く事で透析膜に実際にかかっている圧力を出す事ができます。

それを膜間圧力差(TMP)といいます。

$P_{B}-P_{D}=TMP$というように簡単な式であらわす事ができますが、この式で求められたTMPはあくまで概算であり厳密には以下の式で表されます。

$$TMP=\frac{P_{BI}+P_{BO}}{2}-\frac{P_{DI}+P_{DO}}{2}-π_{P}$$

$P_{BI}$=入り口側の血液側圧力

$P_{BO}$=出口側の血液側圧力

$P_{DI}$=入り口側の透析液圧

$P_{DO}$=出口側の透析液圧

$π_{P}$=コロイド浸透圧

$\frac{P_{BI}+P_{BO}}{2}$の部分を見てみましょう。

血液の入り口側の圧力に出口側の圧力を足したものを2で割っています。

つまり血液側の圧力の平均を求めている事になります。
(ダイアライザを通っているうちに圧力が減衰するので平均を出す事で血液側の圧力を求める)

透析液側も同様に入り口と出口の平均を求めます。

それぞれの平均値を引き、さらにコロイド浸透圧を引く事でTMPが出ます。
※コロイド浸透圧とはアルブミンなどに関わる浸透圧の事ですが、ここでは説明を省略します。

ここでもう一度濾過係数の式を見てみましょう。

$$L_{P}=\frac{V_{F}}{T_{F}×TMP×A}$$

$V_{F}$(濾液量)とは膜にかかっている圧力(TMP)と時間、膜面積が大きくなるほど増加していきます。

濾過係数$L_{P}$とは純粋な膜性能による透水性を見るものなのでそれらの値を除外しなければいけません。

つまり$V_{F}$をTMP、時間、膜面積で割ってあげる事で$L_{P}$が求められます。

2種類の透析膜の透水性を比べる時に、時間や圧力などの検査条件が違うと公平な比較が出来ませんよね。

時間や圧力などの条件を同じにして公平に比較するために割り算をしているという事ですね。

限外濾過率$UFRP$

限外濾過率も濾過係数と同じように膜の透水性を表す指標です。

限外濾過率は以下の式で求められます。

$$L_{P}×A$$

先ほどの濾過係数に膜面積をかけたものになります。

総括物質移動係数と総括物質移動面積係数の関係と同じようなものですね。

この関係については以前の記事で解説していますので、忘れた方はチェックしてみてください。

まとめ

今回は濾過係数と限外濾過率について解説しました。

濾過係数とは透水性を表す指標で、限外濾過率は濾過係数にさらに膜面積を考慮した値でした。

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