血液透析機器・装置 RO装置(水処理装置)
こんにちは!もっちゃんです!!
今回から「血液透析機器・装置」の分野を解説していきます。
この分野ももちろん透析技術認定士の試験範囲です。
ここでは透析治療に使用する様々な機械について解説します。
透析の機械といって真っ先に思い浮かぶのはコンソールだと思います。
しかし、透析を行うにはコンソールだけでは駄目なんです。
透析には透析液が必須ですよね。ではその透析液はどうやって作られているのでしょうか?

透析液の作成は臨床工学技士の方なら馴染み深いでしょうが、看護師の方にとっては意外にあまり関わらない所ですよね。
透析液を作るための機械は主にRO装置と呼ばれる水を綺麗にする装置、溶解装置と呼ばれる透析液の原液を作成する装置、セントラルと呼ばれる原液を適正な濃度に調整する装置があります。
これら様々な機械を使って透析液は作成されています。

今回はこの中でも水処理装置(RO装置)について解説していきます。
水処理の概要
透析液を作るのには大量の水が必要です。施設によって水道水や井戸水など使っている水は違いますが、いずれにしてもその水をそのまま透析液に使う事は出来ません。
なぜなら水道水などの水には体に直接入れると有害な物質が大量に含まれているからです。
例えば塩素が含まれた水を使用して透析を行うと溶血を起こします。また、細菌やエンドトキシンなどの物質が含まれていると発熱などの症状を起こす事もあります。
このような事を起こさないために透析液を作成する前に水を無害な状態に処理してあげなければいけません。この工程の事を水処理といいます。
水処理前の水道水や井戸水の事を一般的に原水と呼びます。

普段の生活で水道水などをそのまま飲むのは問題ありません。
吸収された後にちゃんと調整されてから血液に入っていくからです。
透析治療で問題になるのは血液に直接触れてしまうからです。
水処理と一言でいっても実は複数の工程に分かれています。
1次フィルタ→軟水装置→活性炭→2次フィルタ→ROモジュール→ROタンクに分かれており、それぞれの工程ごとに役割があります。

これから各工程ごとに詳しく解説します。
1次フィルタ(プレフィルタ)
1次フィルタは一般的にプレフィルタと呼ばれ、主な役割は原水中の大きめの物質を取り除く事です。
最初にある程度大きい物質を取り除かないと、以降の工程で膜の目詰まりなどを起こしてしまうためその予防のために取り付けられます。

大きめの物質といっても目には見えないレベルの大きさです。
その程度の大きさの物質でもずっと無視していると目詰まりを起こしたりします。
軟水装置
軟水装置はその名の通り水を軟水にする装置です。
通常水道水は硬水であり、硬水を透析に使うと吐き気や下痢などの症状を起こすことがあります。
そうならないように透析に使用する水は軟水でなければいけません。
軟水装置ではカルシウムやマグネシウムなどの二価の陽イオンとナトリウムイオンを交換します。


二価の陽イオンを取り除く事で水の硬度を下げるという事です。
活性炭濾過装置
活性炭は塩素系の物質を吸着する特徴があることから、原水中の遊離塩素、クロラミンなどを吸着する役割を持ちます。
塩素が除去されずにそのまま血液と触れ合ってしまうと溶血を起こす危険性があります。
この後説明するROモジュールでは様々な物質を除去できますが塩素系化合物が除去できないためこの工程での塩素の除去はとても重要になっています。
遊離塩素とアンモニア系の化合物が結合する事で結合塩素となる。
また遊離塩素と結合塩素を合わせたものを総塩素という。


塩素は元々消毒の為に水に含まれているのですが、これをそのまま透析に使ってしまうと体に害を及ぼしてしまいます。
2次フィルタ
カットフィルターと呼ばれる物です。軟水装置や活性炭から出る微粒子の除去を目的に設置されますが、近年では活性炭がフィルター形式になり粒子が流れ出なくなったため2次フィルターを設置していない装置も増えてきています。
ROモジュール
ROとはreverse osmosisの略で逆浸透という意味です。
逆浸透とは膜分離の中でも最も精密な濾過で、簡単に言うと純水を作り出す膜分離です。
元々浸透とは浸透圧差を利用した溶媒の移動ですが、逆浸透は圧力差を利用した溶媒の移動です。

この逆浸透装置(ROモジュール)では塩素イオン以外の溶質は全て除去されます。
ここで生成された純水の事をRO水と呼びます。
ROタンク・紫外線殺菌灯
ROタンクはROモジュールにて生成されたRO水を貯蔵するタンクです。
RO水は塩素が含まれていないため細菌が繁殖しやすいです。

元々消毒目的で含まれていた塩素を活性炭で除去してしまっている為ですね。
細菌の繁殖を防ぐ為ROタンクには紫外線殺菌灯(UVランプ)が使用されます。
紫外線殺菌灯は波長260nmの紫外線を放出しており、この波長の光には殺菌効果があります。

まとめ
今回は水処理装置についての解説をしました。
透析液を作るための水を作るだけでこれだけの工程が必要なんです。
さらにここで作られたRO水が溶解装置やセントラルに運ばれ、透析液が作成されるという流れです。
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