目指せ!透析技術認定士
こんにちは。もっちゃんです!
前回の記事までに新人スタッフ向けに透析の基礎について解説してきました。
基礎編のまとめ記事はこちら
今回の記事からは少しステップアップして行きたいと思います。
具体的には透析技術認定士を取得出来るレベルまで理解出来る事を目標にします。
この記事の対象者は『新人から一人前にステップアップしたい方』『現在透析技術認定士を目指している方』『透析についてもう少し勉強したいけど何を勉強したらいいか分からない方』です!
今回のテーマは「透析の歴史」です。実際に現場で働いている方でもこのテーマをしっかり勉強した方って多分少ないと思います。
でも透析技術認定士の試験では毎年数問は確実に出題されています。
今日はこの「透析の歴史」について一緒に勉強していきましょう!

透析の歴史って中々自分で勉強しようとは思わないですよね💦
せっかくの機会なのでこの記事で学んで見ましょう
透析の歴史
透析の始まり
- 1914年Abelが人工腎臓を発表最初に発表された人工腎臓はコロジオンチューブをガラスの分配管につないだものだった。サリチル酸を付加した犬からサリチル酸を分離する実験を行った。
- 1938年~1945年Kolffらが人間への治療を試みる回転式ドラム型ダイアライザ(セルロース膜)を用いて15人の急性腎不全の患者の救命を試みた
- 1945年Kolffが第2次世界大戦中に透析治療を完成させる当時の透析液は血液と近似したNa,K,Ca,HCO3,グルコースだった
- 1948年Skeggs Leonardsが平板型ダイアライザを開発同時期KolffはOlsonらとともにKolff-Brigham型人工腎臓を作成し、朝鮮戦争での急性腎不全の治療を行った

当時の透析治療はとても大がかりな装置が使用されており、今では想像もつかない手法で行われていました。
透析治療の進化
- 1954年日本での透析治療この頃から日本でも透析治療の開発・研究が行われるようになった
- 1956年Kolffがtwin coil型ダイアライザを開発従来の装置より操作が簡便なtwin coil型が開発されたことで人工腎臓の世界普及の基礎となった
- 1960年Quinton,Scribnerらが外シャントを開発外シャントの開発により透析治療の反復実施が可能になった。また、同時期にスタンダード・キール型ダイアライザが発表され一斉を風靡したが、準備の煩雑さから普及しなかった。そのような問題点もふまえ開発者達はディスポーサブルタイプの開発に集中した
- 1964年三村信英、上田泰らによって腹膜透析の有用性が報告この頃に日本での腹膜透析の歴史が始まった。当時の腹膜透析は現在でいう間欠的腹膜透析だった

この頃から少しづつ透析治療というものが世界中に広まっていきました。
過去に使われていた人工腎臓は印西市立印旛医科器械歴史資料館に収蔵されています。
印西市立印旛医科器械歴史資料館のHPはこちら
透析治療の近代化
- 1966年Stewartらが中空糸型(フォローバイバー型)ダイアライザを開発現在の主流である中空糸型のダイアライザはこの頃に開発された。当時はセルロースジアセテートがもちいられていた。また同時期に内シャントが開発され現在の透析治療の形に一気に近づいた
- 1968年日本で診療報酬として認められる日本で透析治療が健康保険による診療報酬が認められ日本での透析治療が加速した
- 1974年日本でのダイアライザ開発の加速の始まり1974年に旭化成(株)からセルロース系膜のHFK(中空糸型ダイアライザ)が製品化された。1978年に東レ(株)からPMMA膜が、クラレからEVAL膜が製品化された。その後も1979年に旭化成(株)からPAN膜などの合成高分子膜が製品化されるようになった
- 1975年MoncriefとPopovichによりCAPD(持続的腹膜透析)の名称と理論が提唱された
- 1980年日本でもCAPDが開始された
- 1980年~1981年透析用希釈液水質基準が提唱された
- 1985年下条らにより手根管症候群等の原因物質であるβ2-MGが報告されるβ2-MG除去目的で血液濾過法を試みる
- 1986年ハイパフォーマンスメンブレンの登場高性能膜であるハイパフォーマンスメンブレンの概念が提唱されはじめる
- 1987年新里らによりpush/pull HDFが考案されるI-HDFの原型となった治療法であるpush/pull HDFはこの頃に始まった
- 1988年合成高分子膜の進化現在主流となっているPS膜(ポリスルホン)やPEPA膜(ポリエステルポリマーアロイ)はこの頃開発され始めた
- 1990年活性型ビタミンD剤の普及これまで透析液のCa濃度は3.0~3.5mEq/Lであったが活性型ビタミンD剤の普及により、透析液からCaを補充する必要がなくなったことで透析液のCa濃度は2.0~2.5mEq/Lになった
- 1992年~2004年各種血液浄化療法の発展1992年にはβ2-MGを選択的に吸着する療法が報告された(リクセルの事)。2004年には白血球除去療法(LCAP)と顆粒球除去療法(GCAP)がそれぞれ定められた疾患にたいして保険適用が認められた
- 2007年無酢酸透析液の一般使用開始
- 2009年日本透析医学会より腹膜透析ガイドラインが提出された
- 2010年透析液水質確保加算が新設された
- 2012年On-Line HDFの保険点数改正
- 2013年日本透析医学会から血液浄化器の性能評価法と維持血液透析ガイドラインが公開された
- 2014年日本透析医学会から維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言が公開された
- 2016年2016年版透析液水質基準が報告された

ようやく皆さんが普段から携わっている透析治療になりましたね。
まとめ
透析治療とは実は100年以上も前から研究されてきた治療法で先人方の努力により現在の透析治療があります。
透析技術認定士の資格の為だけでなく、こういった歴史を勉強する事も透析治療の理解に繋がると思います。
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