【徹底解説】透析技術認定士合格までの道~膜透過現象~

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透析技術認定士試験範囲 『血液浄化の工学的基礎知識』 膜透過現象

シリーズ3回目になりました。前回に引き続き『血液浄化の工学的基礎知識』の分野を解説していきます。
今回はその中でも溶質や溶媒が透析膜を通過する現象について説明します。

繰り返しになりますが、この記事の対象者は『新人から一人前にステップアップしたい方』『現在透析技術認定士を目指している方』『透析についてもう少し勉強したいけど何を勉強したらいいか分からない方』です!

この分野を始めて勉強する方も苦手な方も安心してください。全部教えます。

膜透過現象

計算式がたくさん出てきますが、最初は難しく考えず一通り目を通してみてください。

透過流束

透過流束とは単位時間、単位面積あたりに透過する水分量もしくは溶質量(水分透過流束と溶質透過流束)

簡単に説明すると1分間あたりに1㎡の膜を何mlの水もしは溶質が通り抜けるか?
という指標です

値が大きいほど通りやすい

流速ではなく流束なのに注意!速さではなく量を表す指標です

水分透過流束Jv=Lp(ΔP-σΔπ)

・・・・・

多分この式を見ても訳分からないですね・・・

大丈夫です!

この式を覚えて計算する。という事はほぼありません。

大事なのは何の値が使われているか?です。

それぞれの記号が何を表しているかを知ることで関係性を知る事が出来ます。

いきなりだとよく分からないと思うので早速試してみましょう!!

 
Jv=水分透過流束

Lp=濾過係数(水分の通りやすさ)

ΔP=膜の両端における静水圧差(水にかかっている圧力差)

Δπ=膜の両端における浸透圧差
※浸透圧とは濃度が違う溶媒同士が半透膜を介して接している時に濃度を同じにしようとして溶媒が移動する力

σ=反射係数(溶質の透過性)
※物質は何かを通るときに全てスムーズに通るのではなく一定数は反射されます。その反射される量が多い方が通りにくいという事になる

難しいですね・・・

でもこれを全て理解する必要はありません。イメージで掴むのです。

何となく全体を見てみると、「水が通りやすいとJvは大きくなりそうだな」とか「σ反射係数が少ない方がJvが大きくなりそうだな」とか見えてきませんか?

正直、透析技術認定士のレベルだとこれぐらい分かっていれば十分です。


「水分透過流束を計算しなさい」みたいな問題は出ません!(もし出たら本当にごめんなさい)

ここで大事なのは水分透過流束とはどういう指標で、それにはどんな力が関係しているかという事を知る事です。

溶質透過流速Js=Jv(1-σ)Cs+PmΔC

もっと複雑な式が出てきましたね・・・

ただこの式も考え方は一緒です。全体のイメージで考えましょう。

Js=溶質透過流束

Jv=水分透過流束

σ=反射係数

Cs=膜内平均溶質濃度(そのまま。溶質の濃度の事です)

Pm=拡散に伴う溶質透過性(溶質の通りやすさの事。大事なのは拡散によるという所)

ΔC=溶質濃度差

全体を見てイメージしてみましょう。

「水も溶質も通りやすくて、濃度差が大きい方が溶質はたくさん通過しそうだな」
って何となく思えませんか?

イメージを文字に起こしてみるとめちゃくちゃ当たり前の事ですよね。

計算式にして色んな記号とか書いてあるとすごく難しく見えてしまうんですけど、こうやって全体をイメージで捉えてみるとすごく単純な事なんです。

認定士のレベルだとここで紹介した計算式を完全に理解する必要はありません。

もしコメントなどで完全に理解したいという意見が出てくれば、それ専門の記事を書きますね。

ただかなり難易度が跳ね上がるので、コメントする方は覚悟してくださいねww

細孔モデル

先ほど説明した膜透過性と膜の構造との関係性を表すモデルとして細孔モデルという考え方があります。

先ほどの透過流束の式を見てみると溶媒や溶質に関わる値しか出てきていません。

これはその透過する物体のみに焦点を当てているからです。

ここで説明する細孔モデルとは透過する物体の透過性透析膜の要素(穴の大きさや膜厚など)を追加したものです。

つまり簡単に言うと同じ物質が透過する時でもAという膜とBという膜では透過性が違いますよ。っていうのを表すモデルです。

  1. Lp=(rp2/8μ)(Ak/τ⊿x)
  2. σ=1-g(q)SF

  3. Pm=Dwf(q)SD(Ak/τ⊿x)
Lp=濾過系数(膜の通りやすさ)

rp=細孔半径(膜に開いている穴の大きさ)

μ(ミュー)=溶質粘度

Ak=膜面開孔率(膜全体に対してどれくらいの割合で穴が開いているか)

τ(タウ)=曲路率(膜に開いている穴は完全なストレートではなく少し曲がっている。それを加味するための数値)

⊿x=膜厚(膜の厚さ)

g(q)=濾過による細孔内壁と溶質の摩擦係数(物質が濾過により穴を通り抜ける時にかかる摩擦の強さ)

f(q)=拡散による細孔内壁と溶質の摩擦係数(物質が拡散により穴を通り抜ける時にかかる摩擦の強さ)

SF=濾過による立体障害因子(濾過をする時に障害となる要素)

SD=拡散による立体障害因子(拡散をする時に障害となる要素)

Pm=溶質透過係数(溶質の通りやすさ)

σ=反射係数

DW=溶質の水中拡散係数(拡散のしやすさ)

はい。式を見ても訳わからないですね。
例のごとくイメージでみてみましょう。

まず①の式から

Lpとは膜の透過性(通りやすさ)でしたね。rpとAkが分子にあるので、この二つの数値が高い方が透過性が高くなりますよね。

つまり膜に開いている穴が大きくて数が多い方が通りやすいって事です。
逆に膜が厚かったり、溶質の粘度が高い(ねばねばしてる)と通りにくいって事になります。


次に②の式です。

σは反射係数です。穴を通る時の摩擦が大きく、障害となる因子が多いとその分、穴を通過できずに反射される物質が多くなるという事が見えてきます。

これはg(q)とSFを掛けたものを1から引いている事からそう判断できます。


最後に③の式です。

Pmは溶質の通りやすさの事です。

式の後半を見てみると①の式と同じ(Ak/τ⊿x)という部分がありますね。

つまり①の式と同じように膜に開いている穴の数が多いほど通りやすく、膜が厚いほど通りにくいという事が分かります。

今日は物質が膜を通過する時の状況を計算式を交えて説明しました。

ですが計算式を完全に理解するのは難しいです。大事なのはイメージです。

次回からも計算式がたくさん出てきますが、頑張って勉強しましょう。

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