【徹底解説】透析技術認定士合格までの道~工学編~

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透析技術認定士試験範囲 血液浄化の工学的基礎知識

こんにちは。もっちゃんです!
前回から透析技術認定士の試験に合格できるレベルを目指した内容の記事を書いています。
今回は透析治療を工学的に見てみるというテーマです。これももちろん透析技術認定士の試験範囲です。
特にこの「血液浄化の工学的基礎知識」の分野は苦手な人も多いと思います。
正直この分野は公式テキストを読んでも理解するのが難しい分野です。

でも大丈夫です!!分かりにくい所は全部解説します!!

この記事の対象者は『新人から一人前にステップアップしたい方』『現在透析技術認定士を目指している方』『透析についてもう少し勉強したいけど何を勉強したらいいか分からない方』です!

ここで「透析って医学だよね?工学なんて関係ないじゃん?」と思った方もいるでしょう。
それは大きな間違いです。
透析とはミクロの視点で見てみると様々な物理現象が複雑に絡み合っています。
それに透析治療を行うためには透析液が必要です。この透析液を作る過程に様々な機械が使われています。

透析治療とは実際何が行われているかを説明するためにはどうしても工学的な知識が必要なんです。

つまり、透析治療を理解しようと思ったら工学的な視点で見てみる事が近道なんです!

ちなみに僕は臨床工学技士ですので工学は得意分野ですww

はじめに

まず『血液浄化』という言葉に対して「ん??」となる人もいるかもしれませんので簡単に解説します。
血液浄化とはその名の通り血液を浄化する治療です。『透析』については老廃物の除去や電解質の調整などを以前の記事で解説しましたので、血液を浄化するという事に対してイメージしやすいと思います。
でも血液浄化は透析だけじゃないんです。
色んな疾患にはそれぞれ原因物質というものがあり、それは疾患毎に様々です。
その原因物質を取り除くために様々な血液浄化療法が存在します。

血液浄化療法はその治療ごとに取り除ける物質が決まっているんです。

透析ではBUNやUAなどのいわゆる尿毒素物質を主に除去しますが、中には白血球なんかを除去する治療もあります。

疾患の原因物質や患者さんの状態によって最適な血液浄化が選択されます。

各種血液浄化療法

  • 血液透析(HD)
  • 腹膜透析(PD)
  • 血液濾過(HF)
  • 血液透析濾過(HDF)
  • 緩徐持続的限外濾過(SUCF)
  • 持続的血液濾過(CHF)
  • 持続的血液透析(CHD)
  • 持続的血液透析濾過(CHDF)
  • 血液吸着(HA)
  • 血症吸着(PA)
  • 単純血漿交換(PE)
  • 二重濾過血症分離交換法(DFPP)
  • 冷却濾過(CP)
  • 白血球除去療法(LCAP)
  • 顆粒球除去療法(GCAP)

血液浄化療法にはこれだけの種類があります。

それぞれの特徴は『血液浄化療法の基礎と技術』のテーマの時に説明します

膜による血液浄化の基礎

ここでは膜分離による物質除去について説明します。
膜分離とは溶媒と溶媒の間に小さな穴の開いた膜を隔てて、その穴を通る事が出来る大きさの物質を移動させる事です。
拡散や限外濾過などがこの膜分離に該当します。
拡散と限外濾過の基礎については以前の記事で説明しましたので省略させていただきます。
以前の記事はこちら

HDにおける分離と物質交換

HDでは透析膜を挟んで血液と透析液が接しており、その間で物質交換が行われています。

  1. 赤血球や体に必要なタンパクなどは分子量が大きいため血液から透析液側に漏れることはない
  2. 細菌やエンドトキシンなどの物質は大きいため透析液から血液側に流入することはない
  3. Ca2+やとHCO3は透析患者で不足するため透析液から血液側に補充される
  4. Na+、Cl、K+などの電解質は血液内濃度が適正になるように調整される
  5. 代謝産物などの不要な物質は血液から透析液側に排出される

透析での物質移動は上のようなポイントがあります。

それぞれ詳しく解説していきます。

①赤血球や体に必要なタンパクなどは分子量が大きいため血液から透析液側に漏れることはない

赤血球の大きさは約8μmです。それに対しダイアライザのポアサイズ(穴の大きさ)は10nmです。
※μはnの1000倍の大きさ
つまり赤血球はダイアライザの穴を通過する事は出来ません。タンパク質も赤血球程ではありませんがポアサイズよりも大きいのでダイアライザを通過しません。(一部の低分子タンパクと呼ばれるものはダイアライザを通過します)

つまり赤血球などの体にとって必要なものは血液から透析液側に漏れ出る事はありません。

赤血球

②細菌やエンドトキシンなどの物質は大きいため透析液から血液側に流入することはない

細菌やエンドトキシン(発熱物質)もダイアライザのポアサイズよりも多きためダイアライザを通過する事はありません。
透析液は清浄化によって細菌やエンドトキシンが含まれないように作成されていますが、万が一透析液が汚染され細菌等が含まれていても透析液から血液側に流入する事はありません。

細菌

③Ca2+やとHCO3は透析患者で不足するため透析液から血液側に補充される

Ca2+とHCO3は腎不全により透析患者さんでは不足してしまいます。
そのためわざと透析液のCa2+とHCO3を高めに調整しておき透析液から血液側に補充させます。
これは拡散の原理で溶媒同士の濃度が同じになるまで溶質の移動は続きます。

④Na+、Cl、K+などの電解質は血液内濃度が適正になるように調整される

Na+、Cl、K+などの電解質は透析患者さんは腎臓で排出出来ないため体に溜まっていきます。
そのため透析液のNa+、Cl、K+濃度を血液よりも低めに調整しておき、血液から透析液側に排出させます。
これも拡散の原理で溶媒同士の濃度が同じになるまで溶質の移動は続きます。

⑤代謝産物などの不要な物質は血液から透析液側に排出される

BUNやUAなどの尿毒素や不要物質は血液から透析液側に排出されます。
これも拡散の原理によるものです。
透析液にはBUNなどの物質は一切含まれていないため一方的に透析液側に排出されます。
※電解質と違う点は電解質は透析液にも含まれており、一定以下の濃度には下がらないようになっています(血液と透析液中の電解質の濃度が同じになった時点で拡散がストップするため)

ポアサイズ

ダイアライザのポアサイズは「どの大きさの物質まで抜きたいか」によって決定されています。
厳密に言うと透析アミロイドーシスの原因物質であるβ2ミクログロブリン(以下β2-MG)やα1ミクログロブリン(以下α1-MG)まで除去する目的でポアサイズは決定されています。
β2-MGの分子量は11,800Daでα1-MGの分子量は33,000Daです。
ここで問題になってくるのがアルブミンです。アルブミンの分子量は66,000Daで比較的α1-MGの分子量に近い大きさになっています。
しかしアルブミンは体にとって必要な物質であるため出来る限り除去したくありません。
α1-MGまでは除去してアルブミンは除去しないという膜性能が求められています。

分子量とは簡単に言うとその物質の大きさの事です。

単位はDa(ダルトン)

ちなみに透析で積極的に除去するBUN(尿素窒素)の分子量は60Daです。

α1-MGなどに比べると圧倒的に小さいですね。

これだけ小さいという事はダイアライザを通過しやすいという事です。

ダイアライザに求められる性能

  • 高い溶質透過性・・・溶質透過性とは溶質の通りやすさの事。膜を介して物質が行き来するため高い透過性が要求される
  • 高い透水性・・・水の通りやすさの事。透析とは除水を行う上にHFやHDFでは大量置換を行うため水が通りやすくないといけません(HFとHDFについては後ほど解説します)
  • 溶質透過性と透水性の適度なバランス・・・先ほど高いものが要求されると記載していましたが高すぎてもダメです。適度なバランスを保たないと除去したくない物質(アルブミン)なども除去されてしまうかもしれません
  • 高い機械的強度・・・ダイアライザには常に強い力が加わっています。静脈圧(血液側の圧力)と透析液圧(透析液側の圧力)があり、ある程度の強度がないと膜が破損してしまいます
  • 可滅菌性・生態的合成・・・血液と直接ふれあうため生体適合性(遺物反応や拒絶反応を起こさない性質)が必要です。また、滅菌に耐えられる材料である必要があります。

この分野は説明する事がとても多いためとても1記事で書ききれません。

シリーズ化しようと思いますので、続きはまた次回以降執筆していきます。

『血液浄化の工学的基礎知識』の他の記事はこちら

【透析技術認定士】透析技術認定士の試験範囲の解説を始めます

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