血液浄化の工学的基礎知識 血液浄化の治療指標 除去量
こんにちは!もっちゃんです!!
今回は除去量について解説します。
以前に除去率という指標を解説しましたが除去率と除去量は別物です。
除去率は溶質が除去された割合を表す指標ですが、除去量とは実際に除去された溶質の量を表します。
除去量
除去量とは実際に除去された溶質の量です。
これはどうやって測定するの?と思う方もいるのでしょうが実はすごく単純です。
透析液の廃液を採取してその廃液の溶質濃度を測ればいいんです!

文章で見ると簡単そうに見えますが、実は凄く大変なんです。
透析液は500ml/minで流すのが多いですよね。
仮に500ml/minで4時間透析だと仮定すると500×60×4=120000ml=120Lの透析液が流れていることになります。
これを全量採取するのは不可能ですよね。

6時間透析だと180L。
一人用の浴槽レベルの量ですね。
仮に全量採取出来たとして、その時の除去量は以下の式で表されます。
$M$=除去量
$C_{D}$=廃液中の溶質濃度[mg/ml]
$V_{D}$=総廃液量[ml]
1mlあたりの溶質濃度に廃液の総量をかけると実際の量が出ますね。
例)10mg/ml×1000ml=10000mg=10g
このような計算です。単位がmg/mlからgになっているので濃度が量に変換された事が分かりますね。
ただ実際には全量採取をするのは不可能なので一般的には部分採取をします。
例えば5L分だけ採取するといった方法です。
部分採取は現実的に可能ではあるのですが問題点もあります。それが誤差です。
部分採取の場合は採取した廃液に含まれる溶質の量を理論上の総廃液量に変換して求めますが、あくまで計算値ですのでやはり実測値とは誤差が出てしまいます。
また、除去される溶質の量は時間帯によって変わります。
基本的に溶質は透析の前半によく除去されて、時間が経つにつれ除去量は少なくなっていきます。
つまり部分採取するタイミングによって廃液に含まれる溶質の量が変わってしまいます。
このように除去量とは溶質が除去された実測値を求める事ができるのでとても有用なのですが、その測定の難易度が高い事から頻繁に実施される検査ではありません。
さらに除去量には治療前の溶質濃度の影響を受けるという特徴もあります。
溶質は拡散によって除去されますが、拡散とは濃度差を推進力とした現象でしたよね。
つまり治療前の溶質濃度が高い方が濃度差が大きくなり、たくさん除去されるという事です。
まとめ
今回は除去量について解説しました。
除去量は実際に除去された溶質の量を表す指標です。
総廃液量を全て採取するのはかなり困難なので一般的に部分採取が行われます。
部分採取は廃液の採取が容易ですが、誤差が出やすいという問題もありました。
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