血液浄化の工学的基礎知識 血液浄化の治療指標 クリアスペース
こんにちは!もっちゃんです!!
今回はクリアスペースとクリアスペース率という指標の解説をします。
多分この言葉は聞いたことが無い方も多いんじゃないかと思います。
前回、除去量の解説をしましたが、その時に除去量は治療前の溶質濃度の影響を受けると解説していました。
除去量から治療前の溶質濃度の影響を除いたものがクリアスペースです。
また、クリアスペースから患者さんの体格の影響を除いたものがクリアスペース率です。
クリアスペース(CS)
クリアスペース(CS)は除去量から治療前の溶質濃度の影響を除いたものです。
また、この名称の由来はクリアスペースは総体液量のうち濃度が0になった体積であると考える事ができるからです。

クリアスペースは以下の式で表されます。
$CS$=クリアスペース
$M$=除去量
$C_{B}(0)$=治療前溶質濃度

治療前の溶質濃度の影響を除くという事は除去量を溶質濃度で割ってあげればいいんです。
この式が成り立つのは、除去量は治療前溶質濃度に正比例するという特徴があるからです。
クリアスペース率
クリアスペースも実はひとつだけ問題点があります。
それは患者さんの体格です。
例えば2人の患者さんがいてAさんは体重が50kg、Bさんは体重が100kgだったとします。
CSが2人とも同じ15Lだったと仮定した場合、同じように体液が浄化されたと言えるでしょうか?

Aさんの場合は体液量30Lのうち15Lが浄化されていますが、Bさんは体液量60Lのうちの15Lしか浄化出来ていません。
つまりクリアスペースの値だけを見ると同じでも実際に浄化されている体液の割合は違うという事です。

1人の患者さんの経時的変化を見る時などはクリアスペースで評価しても良いのですが、患者さん全体の平均を出すなどの時はクリアスペースは使えません。
他の患者さんと比較したい時などはクリアスペース率を使用します。
クリアスペース率はクリアスペースを総体液量で割ったもので、総体液量の何%が浄化されたかを表します。
これを使うと違う患者さんとの比較も出来ます。
クリアスペース率は以下の式で表されます。
$V$=総体液量
この式を計算する事で体液の内何%が浄化されたか求める事ができます。


これだと違う患者さんでも比較が出来ますね。
まとめ
今回はクリアスペースとクリアスペース率について解説しました。
除去量から治療前の溶質濃度の影響を除いたものがクリアスペースで、クリアスペースから患者さんの体格の影響を除いたものがクリアスペース率です。
1人の患者さんの経時的変化を見る時などはクリアスペースが使えて、患者さん全体など別の患者さんと比較する時はクリアスペース率を使います。
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